Q&A(よくある質問)



Q1

Q1,この基金は山田町が運営しているのか、あるいは全くの私立の基金なのか、どちらでしょうか。(埼玉県在住 53歳医師)

A1

鈴木善幸記念教育基金は被災地である山田町有志によって始められた災害遺児支援基金で、山田町沼崎喜一町長はじめ山田町役場から承諾を得て山田町教育委員会の外郭団体として4月から活動を開始しています。現在まで任意団体(私立)の扱いですが、今後は山田町のNPO法人として事業を継続する予定です。当基金のホームページは「山田町龍昌寺」ホームページ内にありますが、当基金は特定の宗教団体に関係するものではありません。震災直後の混乱期にあって龍昌寺清水誠勝住職の御厚意によりホームページを開設した経緯があるためです。震災1か月となる4月から奨学金貸与給付を開始しており、これまで22名の遺児高校生が当教育基金から支援をうけています。文部科学省担当官のお話では震災後わが国で最も早く奨学金貸与給付活動を始めた震災遺児支援基金なのだそうです。これまで日本国内だけでなく中華民国台湾の皆さまや米国・ヨーロッパ各国の多くの方々から当基金へご支援をいただいています。大震災の今年度は宮古・山田地区震災遺児高校生全員が貸与給付対象ですが、来年度からは三陸沿岸地域に支援を拡大し、困窮しているが進学をめざす高校3年生を貸与給付対象とする予定です。
寄付金について免税措置を希望されます場合は、山田町の「ふるさと納税制度」を利用することができます。ご連絡をいただければ制度利用に必要な書類などを送付いたします。

Q2

7月末に生徒の父親が亡くなったのですが、震災関連死にあたるようです。私のほうでも最近わかったことなのですが、今からでも奨学金の対象に追加可能でしょうか。(岩手県在住 高校教師)

A2

今からでも奨学支援の対象に追加可能です。生徒本人・保護者の希望あれば御連絡下さい。他校の例ですが、震災のあと職を失って父親が自殺し母子家庭となった生徒があり、震災遺児ではありませんが校長・副校長と相談の上、当基金から支援しています。規約にありますように鈴木善幸記念教育基金は「震災等により困窮しているが学業優秀の学徒に貸与する」奨学支援基金で、支援対象は震災遺児を念頭においてはいますが必ずしも遺児のみに限るわけでなく、教育現場で支援がのぞまれる場合にはできる限り対応していきたいと希望しています。本教育基金はすべて日本全国からまた世界各国から寄せられた尊い御芳志によっていて、なかには8回も街頭募金に立って寄付を集められた千葉県の方やバザー を開いてようやく集めた寄付を送ってくれた小学生もいます(これまでにご協力くださった方々はホームページに紹介されています。)「足らざるを憂えず等しからざるを憂う」という鈴木善幸さんの遺訓に鑑みよろしく御高配くださいませ。

Q3 どのようなことを実際に活動されているのか、また現在の震災遺児の状況等も併せてお聞かせいただけると助かります。(東京都在住 就学支援ボランティア代表)
A3

わたくし共はこのたびの震災で家を流されたり生活の糧を失ったり家族や友人を失ったりいたしましたがみんな失って気が付いたのは、助け合うことの大切さ、です。山田町は人口2万人の小さな町ですが、こども達の犠牲は少ない(保育園5名、小学生3名、中学生0名、高校生1名)のに大人の犠牲者が多く、山田町だけで54名の震災遺児がいます。将来を担う若い人たちが今この困難を乗り越えてくれるならきっと社会を支える大人に成長してくれるに違いないと考え支援活動を続けています。山田町は第70代内閣総理大臣鈴木善幸(在任1980-82年)さん出生の町で、昭和8年(1933年)三陸大津波被害の惨状を目の当たりにして善幸青年は政治家を志したとされています。明治44年(1911年)生まれの善幸さんは今年生誕百年ですが、ご遺族と山田町の賛同を得て当基金が発足しています。4月始業式までは有志の方々から送られたノート等学用品や辞書・本などを山田中学校や被災した船越小学校へ寄贈支援していましたが、以後は主に震災遺児への支援を中心に活動を続けて参りました。教育現場の先生たちの意見では、小中学生は義務教育でそれほど教育費がかからないし生活には母子家庭・父子家庭支援や生活保護制度など行政からの支援があるということで、むしろ思春期にあたる高校生は感じやすく悩み多き年頃で成績が上がらなかったりまた一方では自分の進路を決めなくてはいけなかったりで経済的支援も必要なのに高校生向けの適切な奨学金制度が整っていないというのが実情です。今ある山田町高校生奨学金制度は支給対象者1名のみでしたので山田町から賛同を得て当基金が始まりましたが、支援対象者は必ずしも当町出身者に限るわけではなく、大震災の今年度は山田町と宮古市の高校在籍者を対象とし来年度は隣の釜石市・大槌町へ支援を拡大する予定です。当基金についての概要は以上のごとくですがご希望があれば資料をご住所宛郵送致します。わたくし共の活動はごくささやかなものですが御理解を戴けますれば甚幸に存じます。

Q4

貸与給付ということが書かれていましたが、今一度確認させていただきたいのは、貸与ということは返済を意図しているのでしょうか?(東京都在住 女性)

A4

御存知のように奨学金には貸与型と給付型の2種類があります。貸与型奨学金は在学期間が終わると受けた奨学金を返還するもので、日本育英会奨学金や市町村奨学金などがその代表的なものです。一方給付型奨学金は在学期間が終わっても返還不要のもので、このたびの震災遺児支援奨学金では交通遺児を対象としていたあしなが育英会からの給付金や、まだ支給が始まっていませんが岩手県や宮城県の震災遺児給付金がこれにあたります。当鈴木善幸記念教育基金からの奨学金は「返還は無利息・無期限」で貸与型の形をとっていますが実質的には給付型となっています。
 このかたちは国際社会では借款といいますが、庶民的に落語でいうと「出世払い」ということです。被災地で震災遺児を抱える家庭はいずれも家を失い仕事も失っていて半数以上が母子家庭で生活はたいへん苦しい。現地で日本育英会のように返済を前提とした貸与型奨学金を申し込む遺児家庭はありません。ですから国内で始まっている震災遺児支援の奨学金はほとんど給付型となっています。わたくし共は検討の末「返還は無利息・無期限」奨学金とすることにいたしました。そのいちばんの理由は、この困窮の時にたくさんの方々から応援を戴いたことを奨学生たちに忘れないで欲しいと願っているからです。「返還は無利息・無期限」ですから返せなかったら返さないでいていいのです。苦学して社会に出て働くようになって暮らしに少しゆとりができたとき、あの苦しかった頃世の中の見知らぬ多くの方々から支援を戴いたことを思い出していただきたい。あの頃小さかった遺児幼児たちが今は自分と同じ高校生の年齢になっていてやはり支援を必要としていることに気付いて欲しいと願っています。鈴木善幸さんの母校である宮古水産高校金野仁校長先生は、基金から支援を受けた奨学生たちが将来奨学金を返還できるようになったなら、その生徒は人間的に大きく成長して立派な社会人となるだろう、と「返還は無利息・無期限」奨学制度に大賛成してくれました。お金を差し上げてしまうと貰った方はあとで時間がたつとすっかり忘れてしまうものです。日本全国世界各地から寄せられた御芳志は神さまから授かったようなものですから、奨学生たちは苦しいときこれをお借りして勉強し、独り立ちできるようになったらお返しするというのが鈴木善幸記念教育基金の理念で「足らざるを憂えず等しからざるを憂う」という善幸さんの遺訓に依っています。

Q5

基金の運営について教えてください。(岩手県在住 住職)

A5

奨学金基金には運用型と取り崩し型の2種類があります。運用型奨学基金は相当額の基金を投資運用しその利益から奨学金給付に必要な資金を捻出するもので、海難遺児奨学金などがこれに当たります。一方取り崩し型は寄付金などで集めた原資を直接奨学金給付に充てるもので、全国各地・世界各国から寄せられた善意を基に設立された当基金は取り崩し型奨学基金です。したがいまして当基金からの支出用途はすべて奨学生への貸与給付となっています。震災1年目の平成23年度は47名の震災遺児・困窮生徒が当基金から支援を受け勉学に励みましたが、今年度は現時点での寄付金原資から20名程度が支援を受けられる見通しです。これまでの当基金の運営につきましては平成23年度 収支会計報告書を御参照くださいませ。

(回答 事務局担当 平泉 宣)