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其の十六


『第三次さんま解禁』 
海の幸を追って四十七隻 一斉に出航
 
 
30トン以上のサンマ漁船の解禁日、9月12日は夜のまだあけやらぬ3時半頃より約5千人の見送りが岸壁に集まつて賑わいを呈しました。
 午前4時、町主催の壮行式が行われ、佐藤町長あいさつで村井水産統括事務所長、太田県議の激励の言葉があり、昭和30年度の優良漁船の表彰が行われまし た。県外は香川県の優勝丸、千葉県の第11運祐丸、県内は織笠の千代丸、大浦の女神丸の4隻がそれぞれ表彰状、優勝旗を授与されました。
 これが終わって祝宴に入りましたが、この頃より慰問にかけつけた大神楽、虎舞、獅子舞、大漁踊りが披露され、珍しい郷土芸術に船員達は黒山をきづきました。
 昨年は30トン未満も同時解禁でしたので、79隻が同時に出航しましたが、今年は3次に別れましたので、12日は30トン以上の漁船だけ47隻が待機しました。
  悠々午前6時、サイレント同時に出漁許可証か手渡されるや、各船長はわれ先にと自船に飛び乗り、エンジンをかけて待つ各船はするすると岸壁を離れました。
 岸では5色のテープを握つて歓声を上げる人々、虎舞、大神楽、獅子舞の笛や太鼓のはやしにこゝ岸壁は時ならぬ祭り風景が展開されました。
 船はみるみる中に朝もやの中に消えていつてしまいました。
   
  

資料提供 川端弘行氏 (山田町在住)



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