11月の法話集 ~童謡「しゃぼん玉」~


子どもたちが秋空に向かってしゃぼん玉を飛ばしてい ます。風に乗って飛んでいく様は大人にとってもうれしくなる情景です。そんなとき口をついて出るのが童謡「しゃぼん玉」です。

しゃぼん玉 とんだ
屋根まで とんだ
屋根まで とんで こわれて消えた
風々 吹くな しゃぼん玉 とばそ

この歌は野口雨情さんの作詞、中山晋平さんの作曲です。しゃぼん玉を飛ばしている子どもらの姿にこの歌を重ねてみると、日本の歌として情緒豊かな思いに駆られますが、この詩のできた背景にはこんなことがあったのです。
雨情さんが晋平さんたちと四国の徳島におられたときのことです。二歳になるお嬢さんが疫駒で急死したとの知らせが入りました。悲しみのどん底のなかで雨情さんはペンをとりました。
″屋根までとんでこわれて消えた……″
小さな命が消えてしまった。生命って何てはかないのだろうか?とうたい、
″とばずに消えた 生まれてすぐに こわれて消えた″
と、いとし子へ向ける父親のどうすることもできないせつなさをうたいます。
そして、
″風々吹くな しゃぼん玉とばそ″
とわが子ならず、この世に生を受けた命が、無常の風に吹き消されることなく成長してほしいとの願いをうたい上げています。しやぼん玉を飛ばしている子どもたちを見たら、こんな話をしてあげてください。



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