1月の法話集 ~三つの呪文~


新年を迎えて、皆さんはお寺や神社にお参りに行かれましたね。お寺は仏教、神社は神道、二つの宗教を、ちゃんと受け入れている民族は、たいへん珍しいそうです。私たち日本人は、このことを源にして、日常生活を健康で、安らかに送ることができるようにと、三つの呪文を唱えてきたのです。それは、「ばちがあたる」「もったいない」「ありがたい」の言葉です。「ばちがあたる」というのは、目に見えない力に対して畏れの念を持つ謙虚な心で、道教の流れをくむ日本の神道の教えです。「もったいない」は、つつましい節約の生活を教えた儒教の教えです。「ありがたい」は、まさに仏教そのものです。 「ばちがあたる」「もったいない」「ありがたい」この三つの呪文は、私たち日本人の祖先が守りつづけ、語りついで私たちに遺したすばらしい呪文と言えましょう。「私は無宗教だ」と言う人も、日常で使っています。説明しなくても、子供にだってちゃんと分かります。これほど分かりやすく、それぞれの宗教の教えをズバリ言っているのですから、私たちは、もっと活用しようではありませんか。むずかしい理屈は要りません。日々の生活の中で、「ばちがあたる」「もったいない」「ありがたい」と、呪文のように唱えることによって、身も心も、そして暮らしにも調和がとれてくること間違いありません。三つの呪文で、今年一年、すこやかにお過ごし下さい。



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