1月の法話集 ~掌を合わす~


初詣のお寺で、みなさんが両の手を合わせて、静かにじっと折っておいでになる姿は清らかで平和です。 掌(てのひら)を合わせた形を合掌と申しますね。仏教では合掌をとても大切にいたします。仏さまを礼拝するとき、お仏壇に向かったとき、お墓にお参りし たとき、いつも両の手を合わせて"まごころ"をたむけます。人々礼拝(にんにんらいはい)といって、仏教徒の挨拶はお互いに合掌して相手を拝み合います。 ほんとうに合掌の姿形は美しく平和です。お坊さんの説教でお聞きした合掌についてのお話です。

「右の手は仏さまですよ。左手は私です。右の手と左の手を合わせると、仏さまと私がーつにとけ合います」「両の手を開いてごらんなさい。たくさんのシワですね。シワがたくさんある掌をそっと合わせましょう。シワとシワがピッタリと合わさって"しあわせ"で す。反対に、両手でゲンコツをつくってみましょう。そのゲンコツをぶつけ合ってごらんなさい。指の節と節がぶつかって"不しあわせ"です。合掌をしている とけんかはできません」なるほど、いずれも合掌の心がわかりやすく説かれています。

思えば私たちの祖先は、日常生活のなかでいく度合掌したことでしょう。朝夕、仏さまに手を合わせ、昇る陽、沈む陽に手を合わせ、いただきます。ごちそうさまと手を合わせ、遠くへ行った人の無事を祈り、病気の人の回復を願って手を合わせます。まさに合掌の生活でした。 仏教詩人坂村真民さんは、"めぐりあいの不思議に掌をあわせよう"とうたわれましたが、どうぞあなたも、合掌の心で安らかな日々をお送りください。



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